大事にしている一枚の写真がある。
僕がこの業界に入って一番最初に携わったドラマ作品の全体写真。
全体写真とは撮影も終盤近くを迎えると短かったけど苦労や喜びを共にした
スタッフ&キャスト全員と撮る記念写真を言います。
ですから普通の記念写真とは違います。
目標は一緒でもその課程の中で各セクションが切磋琢磨しぶつかり合い
そして全てをみんなで共有し合った証なのです。
改めて携わった全ての写真を見ると感慨深いものがあります。
特にこの一枚です。

「野々村病院物語Ⅱ」の全体写真です。
冒頭でも説明しましたが、僕が一番最初に助手として携わった作品と言う事と
そこに伝説の女優 夏目雅子さんがいました。
白血病と言う病で若くしてこの世を去ったのですが
僕の記憶の夏目さんは健康美に溢れ、その美しさは永遠だと思っています。
ただそのころの自分は照明部のペーで仕事を覚える事のみに追われ、
余裕などはまったく無く、ただ言われるままに行動してました。
つまりこの女優さんだ、あの男優だと思っている余裕が無かったと言う事です。
ただ、夏目さんと一度だけ会話をさせて頂きました。
めちゃめちゃ普通な会話でしたが当時の自分にとっては感激です。
その会話の内容ですが、当時のTBS緑山スタジオには2つの食堂がありました。
4Fの食堂と1Fの美術食堂です。
当時、どちらかと言うと4Fの食堂は小ぎれいな感じでキャストさんやそれを好む系の人が
利用してて、逆に1Fの食堂は大衆的な労働者系の中華食堂って感じでした。
当然我々照明部は大衆食堂です。
とある日の昼食休憩前でした。
照明部の昼食は1Fの美術食堂と決まってて、当時のライティングディレクターIさん
の意向でいつもの食堂の席に座ったらすぐ食べられる様、休憩に入る前に
タイミングを見計らってペーの自分が注文をしにいく段取りに決まってました。
その日も難しいタイミングを見計らって美術食堂へ注文しに行きました。
ちなみにIさんは必ず広東麺でした。(のびたら怒られる)
するとなんとそこに昼前の出番を終えられた夏目さんが居るではありませんか。
びっくり、思わず僕は夏目さんに軽く会釈をすると「照明さんはいつもお昼はここですか?」
と話掛けられました。
「はっ、はい」と動揺した返事をし「休憩に入りました?」と更に話掛けられ
「いっ、いいえ、みんなの分を注文しに来ました」と説明をしたら
内容を察したらしく「明日は私の分も頼んでいい」と言われ
「はい、わかりました」と言うのがせーいっぱいでした。
僕も単純というかそれから密かに夏目さんのファンになり、いつかライティングディレクター
になったら夏目さんと仕事をしてみたいと言う気持ちがありましたが
かなわぬ夢となりました。
≪ 続きを隠す